2015年08月30日

【二日に一本てのひら百合】2015.08.29 一生一緒に居たいんだけど



 週末はだいたい彼女の家で過ごす。どちらかが、もしくは一緒にご飯を作って食べることもあれば、奮発して外食に出ることもあるし、二人とも面倒なときは出来合い品を買って帰る。
 食事をしてお風呂に入って好きなことをしてのんびりして、夜はエッチもして(もちろんしないときもある)、眠る。
 彼女の名前はハルと言う。付き合って半年くらいだ。出会った頃はボーイッシュな感じだった、最近は髪を伸ばしたりして少し雰囲気が変わってきた。彼女自身の外見は出会った頃のほうが好みだけど、服の趣味は最近のほうが好きなので悩ましい。
 ハルは一緒にいて落ち着くし、話してて楽しいし、映画の趣味は合わないけど食べ物の趣味はぴったりなので食事にあまり困らなくて済む。
 一緒に暮らせたら、一生一緒に居られたら幸せだろうなと思えるひとだ。
「ハルちゃんと結婚したいなぁ」
「そうだね。できたらいいのにね」
 わたしとハルはときどきそうやって笑いあった。

 それから数ヵ月後、わたしとハルは、小さなすれ違いが大きな苛立ちとなり激しいケンカとなって、別れてしまった。
 わたしは正直よりを戻せるんじゃないかと思っていたのだが、ハルはあっさり新しい彼女を作ってしまい、よりを戻すどころか仲直りすらままならない結果となった。しかも実は新しい彼女とはその喧嘩の前から付き合い始めていたらしく、わたしは知らないうちに二股をかけられていたのだ。
 こうなるともはや大好きだった彼女と別れて悲しいというより腹立たしいでいっぱいになって、彼女のことはとっとと忘れようと心に決めた。
 一生一緒に居たかったひとだけど、残念としか言いようがない。
 まあ、こういうこともある。
 たださすがにしばらく彼女を作る気分になれないでいるわたしは週末が退屈で、同棲して十二年のゆっきーさんたちの部屋へ通っている。
 恋人として四六時中べたべたしていたいような時期はとっくにすぎた彼女たちは、傷心のわたしの暇つぶしに寛容に付き合ってくれる。
 わたしは恋をするのが大好きな種類の人間で、恋をしたそのひとと一緒にいるのも大好きな種類の人間だから、そのうちまた恋をするだろう。
 いつか再び、一生一緒に居たいと思える女性に出会えるに違いない。
 無邪気に漠然と自分はいつか結婚するのだろうと信じるひとがいるように、わたしも無邪気に漠然といつか一生を共にする彼女ができるだろうと信じているので。

タグ:創作 百合
posted by 伊西殻 at 00:29| 【二日に一本てのひら百合】